マトウダイの定番料理といえばフレンチのムニエルですが、さらなる美味しい食べ方を求めて中華も試してみました。
果たしてムニエルの美味しさを超えられるのでしょうか?
マトウダイのムニエルと中華風刺身の作り方、食べ比べ結果を紹介します。
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金曜日に下処理をした大量のお取り寄せ魚を使った「まるサバごはん」シリーズ、週初めの月曜日はあまり凝らずにサッと作れるものにしたいところ。
日曜日に水煮魚にしたマトウダイの残りと、ニザダイの中華風洗いで余ったタレを使って「中華風刺身」と「ムニエル」を作ります。
マトウダイの中華風刺身
マトウダイは日曜日に三枚におろしてリードとラップで包み、チルド室で保存しておきました。
すぐに調理に入れるので平日の「まるサバ」も楽チンです。
皮を引いて刺身状に薄く切り、ニザダイの中華風洗いで余ったタレをかけ、ローストしたナッツとネギ・パクチーを添えれば…ものの5分で完成です!
ニザダイの中華風洗いは最高でしたが、マトウダイはどうでしょうか?
・・・おいしい!
昨日、タレもネギもナッツも(おまけに今日はパクチーも)個性が強いこの料理はクセのある魚の方が合いそうだと思いましたが、マトウダイも独特のマトウ臭があるので醤油とワサビで食べるより美味しくいただけます。
ただ、ニザダイの中華風洗いほどの抜群の相性の良さは感じないかな?
ニザダイとマトウダイで水煮魚の食べ比べをした時も思いましたが、旨味爆発のニザダイに比べるとマトウダイはどうしても見劣りしてしまいます。
もちろんマトウダイも十分すぎるほど美味しいのですが…相手が悪かった。
マトウダイ単体で食べたらまた印象も違うかもしれませんね。
マトウダイのムニエル
マトウダイのムニエルはフレンチでは王道中の王道料理だそうです。
今回のマトウダイは「水煮魚」に「中華風刺身」とちょっと冒険してみましたが、最後は定番料理で〆ることに。
マトウダイに塩・コショウをしてリードで包み、中華風刺身を食べている間に馴染ませておきます。
フライパンにバターを落とし、ニンニクのみじん切りを入れ、
香りが立ったらトマトのみじん切りと塩レモン(常備している自家製調味料)を加え、少し煮詰めてバターベースのフレッシュトマトソースを作ります。
マトウダイに小麦粉をまぶし、高温のオリーブオイルでカリっと焼き上げ、
お皿に盛り、トマトソースをかければ完成です!
いただきます!
・・・おいし~い!!
やはり定番料理だけあって、今まで試したマトウダイ料理の中で一番しっくりきます。
派手さも奇抜さもないけれど、間違いなく美味しい正統派ムニエルです。
フレンチのムニエル材料としてマトウダイと同じくらい重用される魚がシタビラメらしいのですが、思えばマトウダイとシタビラメは「ちょっとクセがあるけれど臭いわけではない」という点で共通している気がします。
マトウ臭やシタビラメ臭のような「ほど良い」クセと一番波長が合う料理がムニエルなのかもしれませんね。
ぽっと出の(?)中華風刺身や水煮魚にはなかなか入り込めない蜜月関係がマトウダイとムニエルにはあります。
この関係に割って入るのはなかなか大変そうですが、またマトウダイが手に入ったらめげずに他の調理法も試してみたいです。
(大量のお取り寄せ魚を使った「まるサバごはん」シリーズ、翌火曜日の記事はこちら:さつま揚げじゃないよ。アカカマスの「さつま」)
小話
マトウダイの分布はとても広く、FishBaseによると日本・オーストラリア・ヨーロッパ・アフリカまで分布するそうです。
普通は距離的にここまで離れると形は似ている魚でも種が異なっていることが多いです。
例えば、マサバそっくりでもヨーロッパで食べられるものはタイセイヨウサバ(ノルウェーサバ)ですし、マイワシそっくりでもアメリカで食べられるものはカリフォルニアマイワシです。
ところがマトウダイに関しては、どの地域のマトウダイも全く同種とされています。
マトウダイの風貌からしてこのような長距離を泳ぎ回るとはとても思えないので、本当にそうなのかちょっと疑問…
2008年に出た論文※1によると、北半球(地中海)と南半球(オーストラリア)のマトウダイはミトコンドリアゲノム上のCOIという領域の塩基配列に明確な違いがあり、今は一種に括られているマトウダイはいくつかの隠蔽種※2の集合である可能性が高いようです。
マトウダイの分類が見直される日も近いかもしれませんね。
ところで、それぞれの味が違うのかどうかも気になるところです。
昔パリで食べたムニエルがマトウダイだったような気がしなくもないですが、さすがに忘れてしまいました。
いつか食べ比べてみたいものですね。
※1Ward, R. D., Costa, F. O., Holmes, B. H., & Steinke, D. (2008). DNA barcoding of shared fish species from the North Atlantic and Australasia: minimal divergence for most taxa, but Zeus faber and Lepidopus caudatus each probably constitute two species. Aquatic Biology, 3(1), 71-78.
※2見た目がそっくりなので同一種として扱われてきたが本当は別物である種のこと。