この夏ハモにハマって作った14品のハモ料理ランキング前編【14~6位】の続きです。
後編となる本記事は14通りのハモの食べ方のうち美味しさランキング5位から1位までを紹介。王道料理が並ぶ中、1位の座は意外なアノ料理!?
記事後半には、何度も骨切りにチャレンジしてなんとなく掴んだ、素人がハモの骨切りをそこそこ上手に行うコツを紹介します。
それでは、ハモ料理ランキング5位から1位をどうぞ!
【5位】ハモしゃぶ
昆布で出汁をとって長ネギと豆腐を煮込み、骨切りしたハモをしゃぶしゃぶしてポン酢で食べます。
ハモのアラ出汁は使わず具材も少ないシンプルな料理ですが、その分ハモの身自体の旨味をじっくり味わえます。
6位のハモチゲと順位を迷ったのですが、湯豆腐的なこなれ感ある見た目が好みだったのでこちらに軍配が上がりました。
ハモチゲ同様、半生の一番良いタイミングで食べることができるのもポイント高く、堂々のベスト5入りです。
【4位】お吸い物
ハモチゲと同じようにグリルで焼いたハモのアラで出汁をとり、骨切りしたハモの身にサッと火を通していただきます。
クリアな出汁から広がる上品な旨味が素晴らしく、骨切りが全料理中一番上手くいったので(詳細は後述)フワフワ感もバッチリ!
思わず我を忘れて没頭してしまうような、完璧な美味しさです。
【3位】落とし(湯引き)
言わずと知れた定番中の定番料理。
骨切りしたハモの身を熱湯に約10秒くぐらせて氷水にさらし、水分を拭き取って梅肉で食べます。
あらゆるハモ料理の中で断トツの爽やかさがありますが、爽やかなだけでなく旨味も感じられます。
でも最終的な印象としては爽やかで、梅肉の酸味も合わさってただただ爽やか!(語彙力の喪失)
思わず「夏が来た~!」と叫びたくなるような、他に類を見ない唯一無二の一品です。
【2位】炙り
落としに代わり最近注目されているらしいハモの調理法です。
骨切りしたハモの皮目をバーナーで強めに炙り、身の方はサッと炙って梅肉を添えます。
落としとは全く違う美味しさ…香ばしさは勿論ですが、濃厚な味が素晴らしい!落としにする過程でお湯や氷水に溶け出る旨味がそのまま残っているんですね。
そのため旨味は圧倒的に炙りの方が強いのですが、夏の訪れを告げるような落としの清涼感は何にも代えがたいものがあります。
自分でランク付けしておいてなんですが、どっちが良いとかではなくどっちも食べたい品々です。
ランクは大変迷いましたが、初めて食べた真新しさで炙りが僅差の勝利。
【1位】ハモすき
真新しさと味の両面で堂々の1位を飾るのが、ハモすき。
ハモの産地淡路島の名物料理だそうで、同じく淡路島名産の玉ネギを丸々一玉使います。
グリルで焼いたハモのアラと昆布で出汁をとり、玉ネギのスライスを入れて煮込みます。
醤油・みりん・砂糖で薄めのすき焼き風に味付けし、ハモの身をしゃぶしゃぶして食べるのですが…
これがもう、絶品です!!
薄めとは言ってもすき焼き風のしっかり味のあるタレなので、ハモの味が消えて脇役になってしまうのでは?という懸念がありました。が、全くそんなことはなく主役はあくまでもハモ。タレは表面にサッとつく程度で、ハモの風味を引き立ててくれます。
さらに、玉ネギから出るオニオングラタンスープのような深みのある甘い出汁がハモの旨味を強力にアシスト。
これまで試したあらゆるハモ料理の中で断トツの、衝撃的な美味しさです。
さらに衝撃を受けたのが、卵をつけた時。
今度ばかりはさすがにやりすぎ?いよいよハモが脇役になってしまうのではと思いきや…
つけてもなおハモが完全なる主役で、卵をつけた方が美味しいくらい!
卵が完璧に花を添え、ハモすきの洗練度を一気に向上させています。
〆はそうめんが美味しいらしいのですが、なかったので残った汁と玉ネギを卵でとじてご飯に載せ、卵とじ丼にしてみました。
これが本当~~に美味しい!
ハモの味がたっぷり染みたトロトロの玉ネギに、同じくトロトロの卵が絡んで…至福の一品。
ただでさえ完成度の高いハモすきを最後まで完璧に味わい尽くせる、素晴らしい〆でした。
素人がハモの骨切りをそこそこ上手に行うコツ
2記事に渡ってお送りしたハモ料理ランキング、いかがでしたか?
自宅でハモの「まるサバごはん」をする際の参考にしていただければ幸いです。
最後に、何度も骨切りにチャレンジしてなんとなく掴んだ、素人がハモの骨切りをそこそこ上手に行うコツをご紹介したいと思います。
なお、基本的なハモのサバき方や骨切りの方法については、詳しく説明してあるサイトや動画が沢山ありますのでそちらをご参照ください。
骨切りの前に…捌き方のコツ
背開きにする場合、図で赤く示した部分に硬い骨があります(私が住んでいる地域では背開きにされたものが売られていることが多いです)。
骨切りに取りかかる前に、この硬い骨をできる限り取り除いておくことがポイントです(プロでも行う処理)。
背ビレ+背ビレの骨はスキ取り、肋骨も付け根から包丁を入れてできる限りスキ引きます。先端の方は柔らかいので多少残っても大丈夫です。
尻ビレは本当は抜くのが正解なのかもしれませんが、私には抜くのが難しかったので、図の点線に沿って包丁を入れて細いV字に切り取り、そのまま腹まで切れ目をいれて2サクに分けました。
前方に胸ビレがあるので、その部分も切り取ります。
この捌き方だと、普通に三枚おろしにしたような格好になります。
お店で食べるものとは違って身が細くなりますが、半身ずつにしたほうが素人には骨切りも簡単で、結局は美味しく食べられました。
骨切りのコツ
1.皮は意外と切れないので思い切りやる
ハモは皮目ギリギリまで骨があるので、皮一枚残すところまで包丁を入れる必要があります。私が初めて骨切りをした時は、皮目まで包丁を入れずに大失敗してしまいました。
皮は厚みがあるので、思い切りよく切っても意外と完全には切れません。もし完全に切れたとしても、最終的に一口サイズに切り分ける時にそこを基準に切れば良いだけです。
皮に全く刃が届いていないよりは完全に切れた方が良いと割り切って、思い切りやりましょう。
2.二度切り禁止!包丁はワンストロークで
一か所の骨切りで包丁をガシガシ往復させると、火を通した時に身がフワっと広がりません。
同じ場所を2回以上切るのは控えて、一切り一ストロークで潔くシャッシャッと包丁を動かしましょう。
3.間隔が広いところは「追い骨切り」
ハモ全体を一通り骨切りしたら、間隔が広いところを「追い骨切り」します。
追い骨切りしなくても食べられますが、これをするとさらに骨が当たらずフワフワに(ランキング中、骨切りが上手くいったお吸い物はこの方法を使いました)。
ただ、一度切ったところに手を加えると2で書いたように身が開かなくなるので注意です。
自分でハモを骨切りできれば、「これをお店で食べたらいくらするんだろう…」と悦に入りながら自宅で好きなだけたっぷりハモ料理を楽しめます。
お店でハモを見つけたら、是非チャレンジしてみてくださいね。
小話
魚によって作り出される毒素をまとめてイクシオトキシン(ichthyotoxin; ichthyo = 魚類の;toxin = 毒素)と言います。
これはあくまで総称で、特定の物質の名前ではありません。
ウナギの血液中にもこの一種のタンパク毒が含まれることが1990年代から知られていました。
前回も少し触れましたが、属は違えど同じウナギ科に属するハモやアナゴもこのような毒を持っているそうです。
この毒の正体を突き止めようという論文が出たのは比較的最近の2008年のこと。
ニホンウナギの血液中の毒の強さとタンパクのアミノ酸配列(タンパク質はアミノ酸が鎖のようにつながった物質)が調べられました。(毒の強さはマウスとカニで調べられていました)
20年越しに特定されたアミノ酸配列は、データベース上に登録されているどのタンパク質とも似ていなかったそうです。
ウナギに毒があることは割と知られていますが、その正体は実は未知の物質だったりするのかもしれませんね。
厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:魚類:血清毒」https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/animal_06.html
Yoshida, M., Sone, S., & Shiomi, K. (2008). Purification and characterization of a proteinaceous toxin from the serum of Japanese eel Anguilla japonica. The protein journal, 27(7-8), 450-454.
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