サワラの卵を2本いただきました。
なんとそれぞれ30cmほど!とっても大きいです。
これは、かねがね気になっていた「カラスミ」を作るチャンスかも!
カラスミといえばボラの卵。なぜサワラで?とお思いになったかもしれません。
実は、サワラの産卵場がある香川では、たくさん獲れる産卵期のサワラを使ったカラスミが珍味として有名なのだそう。
産卵期と漁獲量の関係はこちら↓
そもそも、カラスミが安土桃山時代に中国(明)から伝来してしばらくの間は、サワラの卵でカラスミを製造していたのだとか。
そんな由緒正しきサワラのカラスミ。さっそく作ってみます。
サワラの卵でカラスミ作り
血抜き
まず、血を抜くために裁縫用の針で血管をプスプスと刺していきます。
皮を貫通しないよう慎重に…
あらかた刺し終えたら、塩を入れた氷水につけて一晩置きます。
一晩経ったものがこちら。
水から揚げるとこんな感じ。
「血管がまるで見えなくなった状態」が理想的とのことですが、まだ少し残っていますね。
ただ、サワラはボラに比べて血が抜けにくいそうですし、これだけ抜ければ許容範囲なのではないでしょうか!
次のステップへ進みます。
塩漬け
大量の塩を卵に擦りこみます。
しばらく置くと、これまた大量の水が出てきました。
水を捨てて塩を追加し、冷蔵庫で1週間、カチカチになるまで寝かせます。
塩抜き
1週間後、カチカチになった塩漬け卵を水につけて一晩置き、塩を抜きます。
「多少芯が残る程度まで塩抜きするのが理想」とのことですが、全体がフニャフニャになってしまいました。
どうやら抜け切ってしまったようです。
が、これも気にせず次に進みます。
相変わらず雑な女だな~
酒に漬ける
酒に漬け、そのまま冷蔵庫で1週間置きます。
ここでどんな酒を使うかが、味の分かれ目であり本気度が試されるところではありますが…
私の器量ではこれが限界でした。
本当は、塩抜きも酒で行うのが良いらしいのですが、もったいなさ過ぎて私にはできませんでした…
最初はバットに入れていましたが、こぼれそうですし、冷蔵庫の中であまりにも邪魔。
ジップロックに変えました。
1週間後、全体が白くなりブクブクに膨れた卵。
ところどころ皮が破れています。
血管を針で突くときに皮を貫通してしまったためですね。
「皮が一か所でも破れたら駄目」としているサイトもありましたし、実際に売り物にするならそうなのでしょうが、今更どうしようもないのでこのまま続行します。
干す
あとは干して乾燥させるだけです。
管理しやすいように、基本はバットのまま冷蔵庫に入れっぱなしにして、
天気の良い休日には干し網で太陽光に当てました。
3週間後…
おめでとう! サワラのたまごは カラスミに進化した!
ポケモンの「進化」って正しくは「変態」だと思うのですが…
変なところで細かい女だな~
あとはラップをして冷蔵庫で保存、ですが…
試食すると少し緩いような気がしたので、最初の1本を食べている間に残りの1本はさらに冷蔵庫で干し続けました。
サワラの自家製カラスミ、実食
そのまま
そんなこんなで完成したカラスミ、まずはそのままで…
おいしい~~!
こってり濃厚で、まさに王道のカラスミ!
手作り故、見た目に多少のアラはありますが、それ以外は売り物と遜色ない味わいです!
そもそもそんなにカラスミ食べたことないけど…
ボラのカラスミがネットリとした口当たりなのに対し、こちらのサワラにはプチプチとした粒感があるのが大きな違いでしょうか。
からすみ大根
お次は定番、からすみ大根。
そのままでも十分に美味しかったですが、さらに完成度の高い味わいに!
数ある食材の中から大根をカラスミに合わせることを考え付いた人に最大限の敬意と謝意を表します。
からすみパスタ
この2品のローテーションで1か月半をかけてほぼすべてのカラスミを食べきったのですが、最後に残ったひとかけらで作ったのが、みんなの憧れ(?)からすみパスタです。
なんとも罪深い味わいでした…
カラスミ作り反省会
皮が破れた事案
血抜きの際に皮を破いてしまいましたが、その後の工程で特に問題は起きませんでした。
味に影響が出るというよりは、高級品としての見た目の問題のような気がします。
塩抜きすぎ疑惑
塩を抜きすぎたかと思いましたが、結果的に丁度良い塩味でした。
おそらく、塩抜き後にフニャフニャになってしまったのは塩抜きしすぎたからではなく、そもそも卵の成熟が進んでいて卵巣の真ん中が空洞になっていたからではないかと思います。
その証拠に、卵の中には排卵直前の「吸水卵」の状態になっている粒もありました。
一晩の塩抜きで「抜きすぎ」ということはなさそうです。
また、一般的には吸水卵はカラスミにはしないようですが、これもおそらく見た目と食感の問題で、「出来ない」というわけではないようでした。
塩抜きの酒差し替え問題
「塩抜きも酒で」という指示には従わず水で行いましたが、これも特に問題なかったように思います。
もしかしたらより強く旨味が出るのかもしれませんが…やはりもったいない精神が勝ってしまうので、次も水でいいかな。
総評
このように文字と写真に起こすと大変な手間がかかるように感じてしまいますが、実際には待機時間がほとんどで、手間自体は大したことありませんでした。
基本的には「塩漬けにして干すだけ」というシンプルな料理。家庭で楽しむ分には難しく考える必要はなさそうです。
美味しい自家製カラスミを肴に晩酌…なんとも幸せな1か月半でした。
コメント
吸水卵っていうんですね!
長年の謎がとけました♪
春に釣れたタイから、シーズン後半になってくるとちょいちょい見かけるで、何だろか?
とりあえず不健康な個体なのかな?って思っていました^_^
カラスミ、保存もきくし良さそうですね!
と、書いてる途中に、、5年くらい前にコウイカの肝を塩漬けにしたのが冷蔵庫のどこかに居るのを思い出しました、、
怖っ!笑
またコメントいただきありがとうございます!
こんな不定期更新のブログを見に来ていただき有難い限りです。
吸水卵、春以降のタイはちょうど産卵期なので、まさにですね!
巡り合うと、あと一押しで産卵できたのに無念…と謎に同情してしまいます。
保存処理して満足してしまうのはあるあるですね笑