お刺身が食べたくてスーパーの鮮魚売り場をうろついていると、新鮮そうなマサバが目に飛び込んできました。
それも一匹400円とお安い!即買いしました。
家に帰って三枚におろすと…
あああぁぁ…!!身がグズグズです。安さの理由は鮮度の悪さ…目利きをミスってしまいました!今になって冷静にサバく前の写真を見返してみると全然新鮮そうじゃないし…生で食べるのは無理そうです。
半身はちょっと一工夫して竜田揚げ風の野菜炒めに、残りの半身は日持ちするように干物にすることにします。
鮮度の落ちた魚で干物を作ると干青の親父さんに怒られそうですが…汗(築地魚河岸三代目11巻のFish 7「手塩にかけた干物(後編)」参照)
マサバの竜田揚げ風野菜炒め
まず、半身を適当な大きさに切り、
1 : 1の醤油と酒にすりおろしたニンニクとショウガを入れ、マサバを漬け込みます。今回は一晩漬けました。
片栗粉をまぶし、
油で揚げ、余分な油を切っておきます。
お好みの野菜を炒めます。今回は冷蔵庫の残り物の白菜、玉ネギ、レンコンです。
最後にマサバを投入し、マサバの漬け込みに使ったタレにコチュジャンとウェイパーを加えたものを入れて軽く混ぜ合わせ、お皿に盛って完成です!
今日は休肝日…ごはんをお供にいただきます。
あらっ!?・・・すごく美味しい!
鮮度が悪かったので、ちょっと臭みが出ていましたが、これがコチュジャンと合わさると不思議なことに芳烈な香りに変わりました。
竜田揚げにしてから炒めることで、ボリュームとゴージャス感が出て満足感のある一皿に。
ごはんにも合いますが、ビールにもさぞかし合うだろうな~!
今回はコチュジャンを使いましたが、鮮度に関わらず身に特有の臭いがあるマサバはスパイス系の料理とも好相性の予感です。
実はインドカレー好きの私、家にはスパイスのストックがたくさんあるので、今度試してみようかな。
マサバの新しい可能性を感じた一皿でした。
小話
九州大学が中心になって、完全養殖マサバの流通や育種を進めているそうです。
完全養殖マサバはアニサキスのリスクを低減できるし、脂が十分に乗った個体をいつでも提供できるので、メリットが大きいです(天然のマサバは産卵期である夏になるとガクッと脂が落ちます。必ずしも「脂が乗っていない」=「美味しくない」ではないと思いますが…)。
育種のアプローチも面白く、標的遺伝子を破壊するゲノム編集技術を使って、攻撃性を低下させる性質を持つ変異体を作っているようです。
魚のゲノム編集というと、ダブルマッスルトラフグのように筋肉量を増やすことが定石ですが、なぜ攻撃性の低下なのでしょうか?
それは、マサバが仔稚魚期に激しく共食いするからです。
養殖の現場では共食いが大きなロスにつながるため、これを低減させる目的で攻撃性を低下させる育種が進められているということです。
遺伝子組み換えと違い、ゲノム編集では外来遺伝子を導入しません。
また、標的の遺伝子を破壊するのに使った分子が生体内に残ることもないので、天然に存在する(したがって私たちが知らず知らずのうちに食べている)突然変異体と区別はつきません。
それなのに、なんとなく口に入れることには抵抗があるような…
こうした技術を利用した食品がこれから私たちの食卓に普通に上がるようになるのか、注目ですね。
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