アカハタが1匹手に入ったら、どうやって食べますか?定番の酒蒸しも良いけど刺身も食べたい…迷ってしまいますよね。
この記事ではサバき方や食べ方を工夫して、1匹のアカハタを5品もの料理に変身させます。
皮やウロコや口の中、さらにはタレに染み出た旨味まで、余すところなく食べられるアカハタ料理の作り方を紹介します。
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先週金曜日に届いた大量のお取り寄せ魚を使った「まるサバごはん」シリーズ、8日目となる金曜日は「アカハタ」を食べます。
先週金曜日以来8日間丁寧に熟成させたアカハタ、どんなに美味しくなっているか楽しみです♪(熟成の詳しい方法はこちら)
今日は花金なので色んな料理に加工して「アカハタパーティー」と洒落込むことに。
「刺身」「中華風刺身」「ウロコの素揚げ」「清蒸(チンジョン、中華酒蒸しのこと)」「清蒸ダレごはん」の5品を作ります。
アカハタをサバく
8日間熟成させたアカハタがこちら。
余分な水分が抜けてマットな質感になり、身も締まって見るからに美味しそう…
まずはウロコを取ります。
ハタ系の魚のウロコは皮に食い込むようにギッシリ付いており、ウロコ取りや包丁でこそぎ落とすだけではなかなか取れません。
ウロコの下の薄皮ごと包丁で引く「すき引き」という手法を使います。
この時、熟成のためにお腹に詰めていたリードはそのまま詰めておきます。魚体がグニャグニャしなくなり扱いやすいからです。
両面のウロコをすき引きにします。引いたウロコは美味しく食べられるので捨てずに取っておきます。
すき引きできない細かい場所のウロコは包丁の先で念入りにこそぎ落とします。
清蒸(中華酒蒸し)では頭の皮や身も食べるので、頭のウロコも丁寧に。
片面を切り離します。切り離した方を刺身に、頭付きの方を清蒸に使います。
ここでは左右どちらの身を切り離すかがポイント!
清蒸は頭を左向きにした方が格好が良いので、魚の右側を下にして作ります。
そのため、右側の身を切り離します。
1匹まるごと清蒸にするのも豪快で良いのですが、このように右側の身を切り離して頭付きの半身だけで清蒸を作ると、
- 身の右側がフラットになるのでお皿に置いたときに安定する
- 両面の身を食べるために骨を外したり裏返したりする必要がないので食べやすい
- 右側の半身で他の料理も楽しめる
などのメリットがあってオススメです。
切り離した右側の半身から血合骨を切り取り、刺身と中華風刺身用に2つのサクに切り分けます。
これでアカハタをサバく工程は完了です。
端くれを少し味見してみると…熟成の甲斐あって、ぐっと旨味が強くなっています!
少しだけ臭みが出ていますが、刺身で食べても問題ない程度。
予定通りのメニューで「アカハタパーティー」スタートです!
アカハタの刺身
刺身用のサクの皮を引き、引いた皮を熱湯でサッと湯がいてからキッチンペーパーで水分を拭います。
この時、残った小さいウロコが浮いてくるのでキッチンペーパーでゴシゴシと取り除きます。
皮を細切りにして身を薄く切り、お皿に盛れば完成です!
好みによりますが、私はハタ系の魚はフグのように刺身で細ネギを巻いて紅葉おろしとポン酢で食べるのが一番美味しいと思っています。
今回も細ネギと紅葉おろしを添えました。
サッポロ黒ラベルと一緒に、いただきます!
・・・おいしい~~~!!!
熟成によって引き出されたアカハタの純粋な旨味を感じます。
サバいた時に感じた臭みはほとんど気にならず、頑張って探すと見つかるかな?という程度。
8日間も熟成させたので身自体の歯ごたえはほぼなくなりました。
歯ごたえも楽しみたければ2日目くらいで食べるのが一番良かったかもしれませんが、湯がいた皮のコリコリ感とのコントラストが際立ちますし、旨味抜群で十分美味しいので悔いはありません!大満足!
アカハタの中華風刺身
中華風刺身では趣向を変え、湯引きにして皮付きのまま食べてみます。
アカハタのサクを皮を上にしてまな板に置き、熱湯をかけた後に氷水につけます。
ここでも浮いてきたウロコを爪でこそげ取り、キッチンペーパーで水分をよく拭き取ります。
身を薄く切ってお皿に盛り、日曜日に作った「ニザダイの中華風洗い」で余った中華ダレを回しかけ、刻んだローストナッツを散らせば完成です!
日本酒に移行するのも良いけれど、もうちょっとビールが飲みたいな~
サッポロ黒ラベルと一緒に、いただきます!
・・・うん、これもまた凄く美味しい!!!!
熟成によって旨味と少しのクセが出た白身に中華ダレがとってもよく合います。
身の旨味もさることながら、湯引きにした皮の存在感と旨味も相当なもの。
湯引きしたことで少しだけ火が通った身と相まって、刺身と清蒸の中間のような、チョコレートに対する生チョコレートのような…いわば「生清蒸」の様相を呈しています。
皮のプリプリした食感とナッツのカリカリした食感、2種類の歯ごたえも小気味良く楽しい。
この倍量は食べたいほど美味しくて、ひたすらビールが進む一品でした。
アカハタのウロコの素揚げ
すき引きしたウロコに塩を振り、油でカラッと揚げれば…
あっという間にウロコの素揚げの完成です!
揚げ物にはやっぱりビール…
またまたサッポロ黒ラベルと一緒に、いただきます!
・・・サクサク感がたまりません!
ただのウロコなのに味もしっかりあって、カニを食べているような、高級かっぱえびせんのような…洗練された味わいすら感じます。ウロコを揚げただけのお手軽料理だとは到底思えません。
冷めてもフニャっとならずサクサク感がずっと残るので、ダラダラ飲むときのおつまみにも最高。
すき引きしたウロコ、捨てたら損ですね。必ず食べたい一品です!
アカハタの清蒸
「清蒸(チンジョン)」は広東料理の一種で、紹興酒を使った蒸し魚です。
ハタ系の清蒸は中国では最高級料理の一つとのことですが、意外と家でも簡単に作れます。
アカハタ全体に塩をガッツリ擦り込んでしばらく置き、水でサッと流してキッチンペーパーで水分を拭き取ります。
白髪ネギとショウガの細切りを用意しておきます。
大きめの耐熱皿に白髪ネギ用の長ネギの青い部分を載せてその上にアカハタを置き、せいろにセットします。
紹興酒を回しかけ、風味付けに少しの魚醤をたらして20分弱蒸します。
私は大きな中華せいろを持っているのでまるごと蒸しますが、小さなせいろや鍋でも魚を半分に切れば大丈夫。
蒸し上がったらアカハタだけ別の耐熱皿に移し、残った蒸しダレを少し煮詰めてアカハタにかけます。
用意しておいた白髪ネギとショウガの細切りをアカハタに載せ、カンカンに熱したゴマ油をその上からジュッとかければ…
アカハタの清蒸の完成です!
この豪快なルックスにはビールがほしいところ…
結局最後までサッポロ黒ラベルと一緒に、いただきます!
・・・鉄板の美味しさ!
お取り寄せ魚の下処理の記事でも少し触れましたが、マハタ属の魚の味を相撲番付に例えると、クエが横綱、スジアラ(アカジン)やキジハタが大関、アカハタは小結といったところです(あくまでも私個人の感想です)。
上には上がいてキジハタの清蒸などと比べると淡泊な印象ですが、それでも幕内上位力士のアカハタ。味に確かな実力を感じます。
また、クエやスジアラはおいそれと手が出せないほど高価なのに対し、アカハタは比較的お求めやすいお値段。高級料理であるハタの清蒸を気軽に食べたいときにはうってつけの魚です。
そして何より、赤々と華やかな見た目が素晴らしい!食卓に出せば盛り上がること請け合いです。
ハタの最大の魅力、コラーゲン質な皮も健在。
あらかた身を食べ終えた後も、細かいところに残った皮までこそぎ落として夢中で食べ進めます。
唇の周りや口の中までトロトロ・ペトペトで美味しい~
これ以上食べるところがどこにもないほど、きれいに完食しました。
アカハタの清蒸ダレごはん
清蒸を作ったら是非オススメしたい一品。
清蒸のお皿に残ったタレを少量のごはんにかけるだけの〆料理ですが…
・・・これがもう絶品です!
アカハタの旨味とタレの旨味が凝縮された、今日の「まるサバごはん」の集大成とも言える味わい。アカハタの余韻をじっくりと味わえます。
ゴマ油やコラーゲンのおかげでタレが米一粒一粒に絡むので、ツルツルとのどこし良く〆にぴったり。
残ったタレをごはんにかけるだけというお手軽さも、飲んだ後には有難い限りです。
はぁ~~~どれも美味しかった!!
アカハタの旨味を余すところなく堪能し、大満足の夜でした。
(大量のお取り寄せ魚を使った「まるサバごはん」シリーズ、次の記事はこちら:間違いなく美味しい!だけど…?熟成カサゴと魚介類の本格ブイヤベース・〆のリゾット)
小話
「アカハタ」という名前の由来はとってもシンプル。全体の真っ赤な体色に言及したものです。
ところが、英語だと背びれの末端が黒い点に着目して “blacktip grouper”(先っちょが黒いハタ)と呼ぶようです。
別名として “redbanded grouper”(赤いシマシマのハタ)という呼び方もあります。
そんな特徴あったかな?改めてアカハタの写真を見ると…
確かに背びれの先が黒くなっていますし、濃い赤色のシマシマ模様が見えますね。
とはいっても真っ赤な体色に比べたら些細な特徴で、正直「え、そこ?」という感じ…
でもよく考えると、日本ではここまで赤一色のハタは(スジアラやバラハタなど数種は思い浮かぶものの)珍しいのかもしれませんが、世界的にみると赤いハタなんて沢山います。
赤いという特徴だけでは識別できないので、もっと細かい特徴に着目したということなのかもしれません。
また、アカハタのシマシマ模様は生きている時はもっとはっきりと出ています。
英語では生きている時の特徴に注目し、日本語では食用としての重要性から死んだ状態に注目したという可能性もありますね。
和名と英名で着眼点が違う魚は他にもいて、調べてみると楽しいものです。また機会があれば紹介しますね。
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