高級料亭でしか食べられないと思っていた「クエ鍋」を自宅で作って食べてみました。
クエ鍋の作り方と筆舌に尽くしがたい美味しさ、そしてその意外な楽しみ方を紹介します。
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天然クエの「まるサバごはん」、酒蒸しの続きです。
酒蒸しで加熱クエの実力を思い知ったところで、今日はいよいよ大本命のクエ鍋。
クエといえば鍋!というくらい親和性の高いらしい組み合わせ。本当に楽しみです!
クエ鍋
熟成5日目のクエの身です。食べやすい大きさにぶつ切りにします。
クエのアラ(頭半分とカマ半分)をオーブンで焼き、
昆布と一緒に煮出して出汁をとります。
適当な鍋野菜を入れれば、クエ鍋の完成です!
煮込みすぎを防ぐために、クエの切り身は逐次鍋に入れていくスタイルにしました。
エビスビールと一緒に、いただきます!
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・・・これは!!想像以上の美味しさ!!!
正直に言うと、刺身はキジハタの方が美味しかったですし、昨日の酒蒸しもキジハタと拮抗していました。
ところが、こと鍋に関してはクエの方がずっと美味しい!!
ぼうずコンニャク氏がおっしゃっていた通り、クエは汁ものと相性が良い身質なんだなと感じます。
ハタなのですが、ちょっとタラ感のある身質というか…
身のほぐれやすさや、セグメントにスパッと分かれている感じが、タラに通じるものがあります。
当然ながら味はタラとは全く異なっていて、各セグメントの歯ごたえの主張が控えめでフワフワしていて、そこから形容しがたい旨味に満ちたコラーゲンスープがジュワ~っと出てくる…
加えて皮のモチモチ感、というよりネットリ感?が良いアクセントになっています。
加熱具合によっても印象が違い、良い塩梅に火を通すと「ジュワ~」が最高潮に引き出されます。
絶妙な通し加減を探りながら真剣勝負で食べなきゃいけない感じの鍋です。緊張感がすごい…鍋なのに…
しゃぶしゃぶのように一瞬でも物足りないし、完全なるウェルダンだとやりすぎ。
2~3分が丁度良い塩梅かな。
びっくりしたのは、アラにもしっかり味が残っていること!
アラは20分焼いた後にさらに1時間くらい煮出したので、確実に味は抜けているはずです。
それなのに、まだまだ濃い味が残っていて、下手したら身の味よりも濃いんじゃないかと思うほど。
さらに、長時間煮込んだせいか身の皮と違ってアラの皮はトロトロしていて、これもまた最高に美味しい!特に唇は素晴らしいです!
普通は出汁を取った後のアラは出し殻になるので捨ててしまうのですが、クエのアラは主役の座を奪わんばかりの存在感。
せっかくのクエなので出し殻でもいいから食べてみようと思い立ったのがファインプレーでした。捨てなくてよかった~!
不思議なことに、食べて10分くらい経ってもまだ口の中にクエの余韻が残っています。
歯磨きするまで消えないんじゃないかと思うような、まだ食べている最中のような、そんな強い余韻です。
こんな余韻はなかなかないですよ…余韻で日本酒一杯いけるんじゃないかな!?
ちょっとやってみます!
クエ鍋の余韻酒(?)
余韻酒、かなりいけます!
お酒を飲むと一瞬クエの味とおさらばするのですが、お酒の味が引くとまた立ち上がって来る…
あまりに長持ちするので一杯どころか何杯も飲んじゃいました。おそるべしクエの余韻…
何度でもよみがえるクエの味。不思議な余韻酒でした。
クエ鍋の〆の雑炊
最後は定番の雑炊で〆です。
美味しい雑炊でしたが、意外なことに臭みがありました。
どこからの臭みかな?と考えてみると、そういえばアラを食べている時に脳の周辺や、前の記事で書いたように寄生虫がいた付近に臭みを感じました。
それが出汁に出て、濃縮されて米に吸い込まれたのかな?
昔、マダイを湯引きせずに鍋にしたときに、「鍋は美味しいのに雑炊になると臭みが出る」という同じ現象が起こったことがあります。
今日も湯引きせずにオーブンで焼いただけでアラ出汁を取りましたが、獲れた当日などでない限りは湯引きをした方が良いのかな~
以前のハガツオのマース煮でも「湯引く/湯引かない」の線引きを検討したことがありますが、なかなか奥深い問題ですね。
昨夏に試したハモの鍋物では、4日くらい経ったアラでも湯引かずオーブンで焼くだけで大丈夫でした。ハモは頭や骨が細く平べったいので、オーブンで臭みのモトを十分に焼き尽くせたのかもしれません。
今回のクエのアラは大きく厚みもあるので、湯引きの方が良かったかもしれませんね。
ともあれ、クエ鍋本体の味は噂にたがわぬ素晴らしいものでした。
そして、とにかくお酒が進みに進んだ鍋でした…二日酔いになりませんように!(次の記事はこちら)
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