地元の朝市でアカカマスとカナガシラをゲットしました。
写真ではわかりにくいですが、かなり大きなアカカマスです。体長30cmは超えていて、太さもあります。背びれよりも腹びれが前にあるので、アカカマスですね。
近縁のヤマトカマスは、腹びれが背びれよりも後ろにあるので区別できます。
カナガシラはお腹が大きく膨らんでいます。卵を持っているようです。
腹を裂いてみると、やはり大きな卵巣が出てきました。しかも…
既に排卵しています。今にも産卵という時に捕られてしまったのでしょう。
少々申し訳ない気持ちになりますが、こればかりはどうしようもありませんね…
カナガシラをさらにサバいていくと、面白いものが見つかりました。
ウキブクロです。膨らんだ状態が見られるのは珍しい♪カナガシラをはじめ、ホウボウ科の仲間はこのウキブクロを振動させてグウグウ鳴くことができるそうです。
白ワインの気分なので、アカカマスはムニエルに、カナガシラはカマスのアラと合わせてブイヤベースにすることにします。
アカカマスのムニエル
カマスは旨味が強いですが水っぽいという欠点があり、水っぽさをいかに克服するかがカマス調理の肝だと思います。
カマスと言えば干物ですが、これは干物が水分を飛ばしつつ旨味をぎゅっと凝縮できる、まさにカマスにとって理想的な調理法だからです。
今回は、三枚におろしたアカカマスに塩を振ってリードに包み、その上からラップを巻いて冷蔵庫で一日放置することで水分を飛ばしました。
このアカカマスは元々翌日に食べるつもりで買ったので一日置きましたが、数十分~数時間置くだけでも勿論問題ありません。
下処理をしたアカカマスに小麦粉をまぶし、バターを落としたフライパンで両面を焼けば、完成です!
白ワインに合わせるつもりだったのに、料理しているうちにビールが飲みたくなり予定変更です笑
黒ラベルのExtra Brewと一緒に、いただきます!
・・・おいしい~~!
きちんと下処理をしたので、水っぽさが無く身が締まり、かつカマスの強い旨味がさらに引き出されています。
カマスの干物が美味しすぎるがゆえにカマスを買うといつも干物にしてしまいますが、カマスは旨味が強い割に淡泊でクセがない魚なので、どんな調理でもかなり美味しくいただけそうです。
水分を飛ばさなくても十分美味しいのですが、ひと手間かけて水分を抜くことでグッと味が良くなるのでオススメです。
カナガシラの手抜きブイヤベース
ブイヤベースを本格的に作ろうとすると食材も手順も多く大変なので、今回は食材も手順も少なくお手軽な手抜きブイヤベースを作ります。そもそも魚のアラだけでかなり美味しい出汁がでるので、あまり凝らなくても普段の食卓には十分かな~と思っています。
カマスとカナガシラのアラを湯引きし、水を張った鍋に入れ、玉ネギ、ニンニク、ローリエと一緒にしばらく煮出し、出汁をとります(ちなみにこの間にアカカマスのムニエルや他のつまみで晩酌しています)。
キャベツやジャガイモなどの野菜を入れてさらに煮て、最後にざく切りにしたトマトと三枚におろしたカナガシラの身を入れ、
身に火が通るまで煮たら、完成です!
写真を撮り忘れましたが(今度こそ)白ワインと一緒に、いただきます!
・・・うん、おいしい!
洋風の潮汁といった感じで普通に美味しく、白ワインとの相性もバッチリ♪
エビや貝類を使ったり、アラを焼いたり、長時間煮込んだ後にスープを濾したりする本格的なブイヤベースにはさすがに負けますが、ワインの気分の日にさっと作れる洋風な一品が欲しい時にはかなりオススメです。
今回はしませんでしたが、スープが余ったらご飯を入れて洋風おじやにしても美味しそう。
魚を二種類も食べられて大満足の夜でした。
小話
カナガシラって面白い名前だな~と思っていましたが、頭が堅い骨で覆われていることに由来するそうです(=金頭)。
食卓でお馴染みの魚というわけではないので、文化的にもマイナーな魚かと思いきや、意外にも縁起物として使われているのだとか。
例えば長崎県では「カナガシラ」という名前が「お金が貯まる」に通じるとされ、節分にこの魚を食べる風習があるそうです。
また、古くからカナガシラは赤ちゃんのお食い初めに使われていたとのこと。赤ちゃんの頭が早く堅くなるように、お金持ちになるように、人の頭(かしら)になるように…など、様々な願いが込められているそうです(築地魚河岸三代目16巻のFish 3「頼りのカナガシラ(前編)」参照)。
馴染みがないどころか縁起物だったとは驚きです。日本の多様な魚文化は本当に面白い♪
カマスはカマス科に分類される魚類の総称で、なんと20種くらいが記載されているようです。びっくり!
日本で食べられているのは主にアカカマスとヤマトカマス。上に書いたように、腹びれが背びれより前にあるとアカカマス、腹びれが背びれと同じか少し後ろにあればヤマトカマスです。他の分類形質もあるけど、これが一番わかりやすいと思います。
一般にアカカマスの方が美味しいとされていますが、干物にするとヤマトカマスの方が美味しくなるという説もあるとか(築地魚河岸三代目11巻のFish 3「猫かぶりのカマス(前編)」参照)。
…三代目ソース多いな~笑
三代目ネタだけではアレなので、最後に高知の方から聞いたカマスにまつわる話を一つ。
高知の人はとにかくカツオ(特に脂が薄い春のカツオ)を珍重し、最近高知で水揚げが増えているマダイは味が薄いといって全然食べないそうです。瀬戸内出身の私としては驚き!
そんな味の濃い魚を愛する高知の人たちでも、カマスは好んで食べるそう。カマスの旨味の強さを物語るエピソードだな~と興味深かったです。
そういえば、高知の飲み屋に行くとかなりの確率でカマスの刺身があります。これと高知の地酒(船中八策)は最高の組み合わせで大変美味でした。また食べたいな~♪
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