【釣り】一度に手に入った大量の魚を美味しく食べ切るための3ステップ【取り寄せ】

魚の処理3ステップアイキャッチ 魚の下処理

釣りで大漁に恵まれたり各地からお取り寄せをしたりして、大量の魚が一度に手に入ることってありますよね。

たくさんの魚を最後まで美味しく食べ切るのはなかなか難しい!最終的に全てごった煮にしたり、冷凍して味を損なってしまったり、最悪の場合は腐らせてしまったり…

この記事では大量の魚を最後まで美味しく消費する方法を3ステップに分けて解説します。

また、魚を美味しく熟成させる簡単な方法とその注意点も紹介します。

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「3ステップ」の概略

(1)計画を立てる

保存や料理のコツではなく計画!?と驚かれるかもしれませんが、これが肝です!

魚の傷みやすさに基づいて、どれから食べるか、どれを熟成させるか、どれを保存食にするか(特に大事!)、おすそ分けするとしたらどれをあげるのかを、サバく前に決めます。どんな料理にするかを軽くイメージしながら行うのがポイント。

なんといっても大量の魚です。計画を立てずにいきなりサバき始めてしまうと、たちまち全体像を見失い、最後まで美味しく食べきることができません。早めに食べなければいけない魚を放置してしまったり、逆に置いておけば旨味が出てくる魚を早々に食べてしまったり、挙句の果てに適切な処理もせずに冷凍してしまったり…

早くサバきたいのは山々ですが、美味しく食べきるためにも最初にしっかり計画を立てましょう!

 

(2)すべての魚を下処理し、保存する

計画を立てたら、下処理と保存処理を行います。

なるべくその日のうちに保存処理まで終わらせたいところですが、無理な場合でもエラと内臓は取っておきたいですね。魚は内臓から悪くなるので、これは美味しさを保つための大事なポイントです。

私の腕とキッチンのスペックだと4~5kgの魚の下処理と保存処理をやりきるまでに2~3時間かかるので、このくらいの量の魚をお取り寄せする場合は、基本的に時間と気持ちに余裕のある金曜日の夜に自宅に届くように手配しています。

 

(3)傷みやすい魚から順に食べる

食べる順番に気をつけ、「まるサバごはん」を満喫します。

金曜日に魚のお取り寄せをした場合、届いてすぐの週末には手間のかかる料理を、翌週の平日には簡単な料理を楽しみます。

熟成中の魚の面倒を見るのも忘れずに。

 

「計画立て」と「下処理と保存」の具体例

それでは、実際に私が取り寄せた魚を例に(1)「計画立て」と(2)「下処理と保存」を具体的に説明します。

お楽しみの(3)「食べる」は別の記事で順次紹介していきますね(追記:下に各記事へのリンクがあります

6月1日(金)の夜にこれらの魚が届きました。

魚種(サイズ)
アカハタ(中) 1
カサゴ(大) 1
マトウダイ(中) 1
アカカマス(大) 2
トビウオ類(小・中) 8
アイゴ(中) 1
ニザダイ(中) 1

 

まずは(1)の「計画立て」を行います。

傷みやすさ別に魚を仕分けし、こんな計画を考えました。

お取り寄せ魚処理計画

この計画をもとに、以下のように(2)の「下処理と保存」を行います。

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1週間は持ちそうな魚種

アカハタ

彩度高めの赤色が目にも鮮やかなマハタ属の魚。

アカハタ

相撲に例えると全種が幕内上位力士と言える高レベルなマハタ属の中で、私的にアカハタは小結ポジション。上には上がいるとはいえ堂々の三役!とっても美味しい魚です。

全く臭みがなく熟成させた方が味が出ますし、適切に保存すれば1週間くらいは平気で持つので、保存処理を行い他の魚を優先的に食べることにします。

 

まず、エラと内臓を取り除きます。ウキブクロの裏にある赤い腎臓を忘れがちなので注意です。

諸説ありますが、ウロコを取らない方が持ちが良いように感じるので、私はこの時点ではウロコは取りません(別の記事で紹介しますが、ウロコもとっても美味しい魚です)。

 

腹の中をよく洗い、腹の中と体表の水分をキッチンペーパーで吸い取ります。

リードを折ってお腹に詰めた後、リードをさらに2~3枚使って全体を覆います。

その上からラップをかけ、冷蔵庫のチルド室に入れて保存します。

アカハタの保存

名前を書いておくとわかりやすい

リードは魚から出た水分を吸って水気を帯び、これを放っておくと魚が傷む原因になります。

そのため最初の数日はなるべく毎日、その後は2~3日おきに交換します。

 

カサゴ

30cmほどある大きなカサゴ。

カサゴ

白い斑点に黒い縁取りがないので、おそらく「ウッカリカサゴ」ではなく「ザ・カサゴ」です。胸びれの軟条数は面倒くさいので数えませんでした。

 

これも適切に保存すれば1週間以上持つので、アカハタと同じ要領で保存処理してチルド室に入れます。

カサゴの保存

 

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3~4日は持ちそうな魚種

マトウダイ

そこそこ強い落ち武者のような風貌。

マトウダイ

奇怪な見た目に似合わず、刺身からムニエルまで何でもそつなくこなすオールラウンダーです。

内臓は届いた時点で既に取ってありました。

全体をざっと洗い、余分な水気と臭みにつながる体表のヌメリをキッチンペーパーでよく拭い取ります。

お腹にリードを詰め、全体をリードとラップで包んでチルド室へ。

 

アカカマス

お馴染みのアカカマスですが、せっかくのお取り寄せなので違う食べ方を試したいところ。

アカカマス

1匹はおすそ分けしました。

 

三枚におろしてキッチンペーパーで水分を拭い、

アカカマスの保存

リードとラップで2サクまとめて包み、チルド室で保存します。

 

精巣(白子)が成熟して美味しそうなので、これも同様にリードとラップで包んでチルド室へ。

アカカマスの白子

よく見るとアニサキスがいます。どこでしょう?

 

ホソトビウオとツクシトビウオ

見慣れていなくて私には同定がとても難しい…おそらく一番上がツクシトビウオで他はすべてホソトビウオではないかと思います(間違っていたら教えてください)。

ホソトビウオとツクシトビウオ

8匹中3匹はおすそ分けしました。

三代目の英二さん曰く鮮度落ちが遅いらしいのですが(築地魚河岸三代目38巻のFish 5「尾ヒレの付けられたトビウオ」参照)、食べ慣れていない魚で不安なので優先的に処理することに。

 

ホソトビウオ3匹を保存食にすることにし、干物に加工(干物の記事はこちら)。

残りの2匹(ツクシトビウオとホソトビウオ1匹ずつ)はアカカマスと同じ要領で三枚におろしてからリードとラップで包み、チルド室で保存します。

 

トビウオと言えば「あごだし」ですよね。アラも美味しそうなので別途リードとラップで包んでチルド室へ。

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1~2日で 臭みが出そうな魚種

アイゴ

臭くて有名な磯魚です。

アイゴ

内臓は取ってあるが、既にちょっと臭う

毒があることでも有名で、毒針を切る必要があります。危ないので水産用の手袋をして行いますが、それでも角度によっては貫通するので、本当に気を付けて!

アイゴの毒針

背びれと

アイゴの毒針を切り落とす

尻びれをハサミで切り落とす

 

二枚におろし、頭付きの方を煮つけて今日の晩ご飯にします。

アイゴの処理

いい加減お腹空いてきた…

残りの半身は臭み防止に皮を引いてからリードとラップで包んで冷蔵し、明日生で食べてみることに。

 

ニザダイ

数年前、沖縄で釣りをした時に釣れて食べようとしたものの、臭くて臭くて一切れも呑み込めなかった思い出の魚です。

ニザダイ

あの日のトラウマがよみがえる

内臓を取ってあるにも関わらず、既にけっこう臭い…鼻を近づけるまでもなく、ケミカルな磯臭さがふわりと漂います。

本当はすぐにでも食べてしまいたかったのですが、今日は遅くなったので明日食べることに。

 

三枚におろして皮を引き、血合い骨をとって4サクに分けます。

すべてリードとラップで包んでチルド室へ。気持ち他の魚から離しておきました。笑

 

この時点では完全にゲテモノ扱いだったニザダイですが、蓋を開けてみれば今回のお取り寄せ魚のMVPは彼(彼女?)だったかもしれません。そのくらい美味しかった…!

どのように食べたかはまた後日紹介しますね。

 

熟成の注意点

以上で大量の魚を美味しく食べ切るための3ステップの(1)「計画立て」と(2)「下処理と保存」が完了です。

このように下処理と保存を適切に行えば、大量の魚でも美味しさを保ったまま長く楽しむことができます。

しかし、注意していただきたい点が一つあります。

それは「魚の熟成」です。

 

今回のアカハタとカサゴは1週間くらい持ちましたが、それはこれらの魚がしっかりと締められていたからです。

普通に売られているすべての魚が丁寧な処置をされているはずもなく、上記の方法と同じように魚を保存したとしても同じように持つとは限りません。

この記事を見て「魚の熟成をやってみようかな」と思ってくださった方は、必ずしっかりと締められた新鮮な魚を使い、慣れないうちは3日程度の熟成からトライするようにしてください。

また、少しでも臭みを感じたら生食はしないようにしてください。

 

上手に熟成させた魚は旨味がたっぷり引き出されて本当に本当に美味しいです。

安全第一を心掛け、是非挑戦してみてくださいね。

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(追記)処理した魚の消費スケジュール

上記のお取り寄せ魚は最終的にこのような日程で消費しました。図中、その魚を食べた日を濃く塗りつぶしてあります。

お取り寄せ魚の消費日程

3ステップの(1)「計画立て」で決めた通り、傷みやすい魚から順に食べているのがお分かりいただけると思います。

具体的には次の料理を作りました。

6/1(金) アイゴの煮付け
6/2(土) ニザダイの洗いアイゴの刺身・べっこう漬けトビウオのたたき・つみれ汁アカカマスの白子焼き
6/3(日) ニザダイの中華風洗い・水煮魚・簡易燻製
6/4(月) マトウダイのムニエル・中華風刺身
6/5(火) アカカマスのさつま
6/6(水) お休み
6/7(木) ホソトビウオの干物
6/8(金) アカハタの刺身・中華風刺身・ウロコ素揚げ・清蒸・清蒸ダレごはん
6/9(土) カサゴのブイヤベース・リゾット

料理名をクリックするとその記事にリンクが飛ぶので、興味がある料理があったら覗いてみてくださいね。

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小話

内臓を取って送っていただいたにも関わらず、既に異臭を放っていたアイゴとニザダイ。

漁獲されても流通に乗らず多くが廃棄される、いわゆる「未利用魚」です。

 

せっかく捕った資源が利用されない理由は様々です。

今回の二種は「味に一癖あって売れない」という要因が大きいと思いますが、たとえ味に全く問題がなかったとしても、水産物の流通過程においては「魚体のサイズが不揃い」であったり「漁獲量が少なくロットがまとまらない」などの理由で未利用になってしまう魚種がたくさんあります。

 

実にもったいない…未利用魚は「まるサバ」ライフを送る上で宝の山なんです!

少し工夫すると、「どうして捨ててしまうんだろう?」と悔しく思うほどに美味しく大化けしたりします。

今回紹介するニザダイはまさにその典型ですね。

こういう素敵な出会いがあるので、私は未利用魚を見つけたら積極的に買うようにしています。

コメント

  1. スヌーピーオヤジ より:

    実に面白い!

    ATPと神経締めとの記事から、ファンになってしまいました!

    僕は、九州の福岡県宗像市というところに住んでまして…すぐそばが玄界灘です。

    趣味で船を持っているので、海のコンディションが良ければ、毎週末のように海にでいます。

    もちろん、釣った魚を如何に美味しくいただくか!…も追求しています。

    そこで!

    ピチットシートという代物をご存知でしょうか?

    かの有名なオカモト…薄いゴムの会社…から出ている魚やお肉の水分を吸収するシートです。

    活け締め、血抜き、神経締め、保冷の後、3枚におろした身をこのシートで包み、30分ほど冷蔵庫に入れるだけで、余分な水分や臭みが取れるんです。

    特に、水気の多い鯛やシロサバフグには効果的です。

    是非、お試しあれ!

    http://www.pichit.info/

    • marusabagohan marusabagohan より:

      コメントいただきありがとうございます。
      趣味で船をお持ちとは凄いですね!
      私もたま~に釣りをしますが、センスが無いのかなかなか上達しません。

      ピチットシートのことは私も最近知りまして、この間試してみました。
      ただ、リードの感覚で長時間置きすぎたようで、身がカラカラになってしまいました。
      30分程度で良いのですね。
      再チャレンジしてみようと思っていたところだったので、情報いただき大変助かります。
      ありがとうございました。

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